信頼されるビジネスパートナーとは?~MSPのための5つのパートナーシップ戦略

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Acronis Cyber Protect Cloud
サービスプロバイダー向け

1990年代、大手通信業者数社による長距離電話サービスの顧客獲得合戦が繰り広げられていました。スマートフォン以前の時代から仕事をしていた方は、しばしば質問から始まる電話セールスを受けたことを覚えているでしょう。「今の電話サービスにどの程度満足していますか?」

電話会社の乗り換えは簡単です、とコールセンターの従業員や何千時間ものテレビ広告が断言していました。そして、お金を節約し、不具合から解放され、残りの人生を楽しく過ごすことができる、そんな感じでした。しかし、電話サービスは単なる商品であり、実際に価値を提供するものではないという考え方でした。乗り換えはコスト削減の手段であり、それ以上のものではありませんでした。

それから数十年が経ち、一部のマネージドサービスプロバイダー(MSP)は長距離電話会社が陥った罠に自分たちも陥っていることに気づきました。 真の価値よりもコスト削減を重視してサービスを販売し、提供するサービスを単なるコモディティに変えてしまいました。顧客がMSPサービスにどれだけ満足しているか?疑いを持ちたくなければ、単なるITサポート以上の、信頼されるビジネスパートナーになる必要があるでしょう。

なぜMSPは信頼されるビジネスパートナーにこだわる必要があるのでしょう?

しかし、MSPビジネスは需要が供給を上回っている状態です。調査会社Canalysによると、平均的なMSPは2023年に約13%成長し、MSP市場は2027年まで2桁成長を続けるといわれています。JumpCloudの調査によると、MSPは中堅中小企業(SMB)の42%のIT環境を完全に管理しており、2023年比で56%増加しています。しかし、なぜMSPはビジネスの損失を心配しなければならないのでしょう?

潜在的な問題はMSP市場にあるのではなく、ビジネス自体にあるのかもしれません。2022年当時、パッチ管理ベンダーのAction1はSMBにおいてMSPに満足しているという会社はほんの22%という調査を明らかにしました。さらに、それより大きい割合である4分の1近くがMSPに満足しておらず、1年以内にMSPを変えたい、と回答しています。つまり、市場には余裕があっても、競合他社や新規参入企業があなたの顧客を奪うのを止めることはできません。

Action1の調査によると、SMBが指摘する最大の問題はパフォーマンスで、障害や顧客からのリクエストに対するレスポンスの遅さがそれに続いています。つまり、基本的なことがきちんとできていれば、顧客を失う可能性は低いということのようです。しかし、別の要因も考えられます。 中小企業は、単なるITサポート業務以上のものをMSPに求めているのです。

顧客はおそらく、あなたが提供している以上のサービスを求めているでしょう

冒頭で例に挙げた1990年代の長距離電話サービスのように単なるITプロバイダーであれば、乗り換えは難しくないでしょう。実際、1日でも不具合を経験すれば、他を探そうとするでしょう。それを防ぐためには顧客にとってなくてはならない信頼できるビジネスパートナーとしての地位を確立する必要があります。

複数の業者と並行して取引するのは面倒でしょう。もしクライアントが、あなたのサービスを社内スタッフで補ったり、他のサービスプロバイダーとも同時に契約していたら、あなたのビジネスは危険にさらされていることになります。顧客は自分たちのサービスがうまく機能することを望んでおり、もしMSPがそれを実現させていないとすれば、他を探されていても仕方ないとMSPは認識している、と言う調査結果もあります。また顧客はできるだけ幅広いIT、特にサイバーセキュリティまでカバーできるMSPを探すでしょう。

さらに、基本的なITサービスのプロバイダーとしてだけでなく、戦略的にMSPと提携することで、実際に企業の業績は向上します。PWCが行った主に中堅企業を対象とした調査では、単なる「コスト削減」ではなく「戦略的優位性」を求めてMSPと提携した企業は、そうでない企業と比較して市場投入スピードとイノベーションの大幅な向上を達成していることを明らかにしました。またこの調査では、ハイレベルなMSPの利用が、競合他社よりも44%高い収益を上げる全体的なモデルに貢献していることも明らかになっています。

MSPのパートナーシップ戦略

ではMSPがクライアントにとってより 「なくてはならない 」存在になり、使い捨てにされなくなるためにはどうすればいいのでしょう?考えられる5つのパートナーシップ戦略をご紹介します。

1. 基本に忠実に

上にも述べた通り、信頼できるサービスを提供していれば、有利な立場に立てます。中小企業は何よりも事業の継続性を求めている。

2. コンサルタントとしての存在をアピールする

顧客にとって、あなたは単なるIT担当者ではありません。あなたは、顧客が理解できない、また理解したくもない世界への窓なのです。あなたは何でも話すことができ、顧客はそれを信じるでしょう。そのため、あなたは顧客の信頼を守る義務があると同時に、ストレージやノートパソコンの導入にとどまらない問題について相談する機会も与えられます。テクノロジーとどまらないトピックについてアドバイスを提供することを躊躇する必要はありません。おそらく、パートナーシップ戦略の鍵となるのは、クライアントに対して自分の価値を証明することで、それによりクライアントはあなたと付き合いやすくなります。

3. 今すぐ提供できる新しいサービスを考える

あなたはおそらく、クライアントがその存在すら知らないサービスを提供することができるようになるでしょう。JumpCloudの調査によると、中小企業の27%が変更管理のためにMSPを利用しています。顧客はあなたの助けを求めており、それを提供してもいいのです。あなたのビジネスに大きな変更を加えることなく、どのようにポートフォリオを拡大できるかを評価してください。ほとんど確実にチャンスが隠れているはずです。

4. 業務分野を広げる

一朝一夕に何かのエキスパートになれる人はいませんが、MSPが長期的にさまざまなサービス分野で専門性を高めるにはどうすればよいかを検討する必要があるでしょう。新たに人材を採用することも選択肢の一つですが、トレーニングの方が効果的なときもあります。優秀な従業員を採用し、彼らの専門分野を広げることができれば、自信を持ってクライアントに新しいサービスを提供することができるでしょう。多くのMSPや専門家は、サイバーセキュリティサービスの提供が最大のチャンスであることに賛同しています。CompTIA の調査によると、企業の約 3 分の 2 がサイバーセキュリティ管理のためにサードパーティーを利用しています。業務領域を拡大することは、MSPの将来に対する継続的なコミットメントとなり得ますが、どのMSPにとっても不可欠なパートナーシップ戦略です。

5. 適切なテクノロジーへの投資

顧客は複数のサービスプロバイダーと取引することを望んでいませんし、あなたも複数のベンダーと取引する必要はありません。Acronis Cyber Protect Cloudは、バックアップ、ディザスタリカバリ、セキュリティ、自動化、管理をネイティブに統合し、導入が容易なソリューションです。また、200を超える他のアプリケーションとも簡単に統合できます。Acronis Cyber Protectがあれば、複数のアプリケーションを寄せ集める必要がなく、クライアントに信頼性の高いサイバーセキュリティを提供し、MSPビジネスを効率的に運営するための最も迅速で効果的な参入方法を手に入れることができます。

顧客維持はMSPの成長

テクノロジー・マーケティング・ツールキット(Technology Marketing Toolkit)の調査によると、MSPの40%近くが新規ビジネスの獲得を紹介から得ていることが明らかになりました。また、アップセルやクロスセルは、新規ビジネスを獲得するよりも容易です。顧客維持はビジネスにとって非常に重要です。顧客にとってなくてはならないパートナーになる方法を知っていれば、信頼されるビジネスパートナーになることができるでしょう。

アクロニスについて

アクロニスは2003年にシンガポールで設立されたスイス企業です。アクロニスは、世界15か所のオフィスと50カ国以上で拠点を擁しており、Acronis Cyber Protectソリューションは150カ国に26言語で提供され、2万社を超えるサービスプロバイダーで利用されており75万社を超える企業を保護しています。

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